上司と部下の間の仕事負担率

Keywords

  • 組織論

Contents

  • 1. 成果物ができるまでの3要素
  • 2. 説明・説得のタイミング
  • 3. マネジメントコスト
  • 4. 組織の階層

成果物ができるまでの3要素

1つの成果物ができるまでには、それをなぜ作るのか(目的)、どのように作るのか(方針)、作る過程(作業)の3要素があります。

目的と方針が決まっていれば、作業は文字通りただの作業で基本的に誰がやっても同じでですが、目的と方針は、人によって異なり良い悪いがあります。

そのため、これら2つについては、なぜその目的・その方針を採用したかを上司に説明・説得する必要があります(上司は、成果物の結果責任を負っているため)。

説明・説得のタイミング

手戻りの可能性を考慮すると、説明・説得は事前にすべきです。ただ、タイミングが遅れたことが原因の手戻りによって損した時間を残業して補うのであれば、事後でも良いです。

マネジメントコスト

目的と方針の説明・説得の結果、上司にとって望ましい状況は、Yes/Noのどちらかを回答すれば良い状況です。もし、上司がWhyやWhatなどの質問、もしくは、なんらかの批判をするということは、説明/説得が不十分であった証です。さらに上司に対して、「じゃあどうすれば良いですか」と逆に質問することは、本来自分ですべき仕事を上司に押し付けているということに他なりません。上司の仕事負担率が増える(言い換えると、マネジメントコスト増)ことになります。

言葉を換えると、上司はできるだけ、質の高い説明を求めているし、批判が不要なくらいの説得を求めているし、できるだけ考えることが不要な質問をしたいのです(ただの確認程度の質問やオープンクエスチョン)。

(ちなみに一番マネジメントコストがかかる方法はメンバーの動きを常にモニタリングし、逐一間違った方向に行ってないか確認すること。よくある例が日報を書かせること。)

組織の階層

メンバーが説明的で説得的であればあるほど、上司の考えることは減り、楽ができます。

例えば、「結構考えてくれているね。目的もちゃんと考えてるし、方針も筋が通っているね。あとは任せて良さそうだね。」というのが良い状況です。(もっと良いのは、「〜がこの案件をリードしているから大丈夫。管理不要。」)

仮に、説明力もなく、説得力もないメンバーがほとんどの場合は、上司は楽ができず、一人一人に対してかなりの時間を割く必要が生じます。

こうなると、上司が自身の負担を減らすために、部下との間にさらなる管理職を設ける力学が働きます。組織の階層が増え、何をするにしても承認フローが必要なるような官僚組織のようになるでしょう。

他にも上司にとっては本来すべき仕事ができなくなるというデメリットもあります。(組織づくり、技術選択、中長期計画の策定など)

部下にとっても、大きい仕事を振られなくなること、誰がやっても成果が同じである作業だけ依頼されるようになること(目的・方針は上司が決める。)、というデメリットがあります