議論の進め方

Keywords

  • 組織論

Contents

  • 1. はじめに
  • 2. 議論とは
  • 3. 価値命題はできるだけ扱わない
  • 4. 議論で必要な構成要素
  • 5. 測定尺度の開発
  • 6. その他
  • 7. 参考文献

はじめに

Web系企業では共有会の開催が多いです。一口に共有会といっても、ただ共有するだけを目的としたものと技術導入に関わるものの2つがあります。

そして後者に関しては、”議論”することが多くなっています。

本稿では、その議論とは何かと進め方について共有します。

議論とは

議論とはなぜ~かの[なぜ]の部分に対して、仮説・仮説検証をしていくプロセスのことを指します。

具体的には、なぜトヨタの売上が高いのかという問いに対して、[生産管理の能力が優れているから]、という仮説をたて、次に本当に生産管理の能力が他社と比べて優れているのか、他の要因で抜きん出ている箇所はないか、など事実を集めて仮説検証をします。それでもし生産管理は他のメーカーと比べて同レベルで、一方でマーケティングに優れているのであれば、[マーケティング力が優れているから]という仮説が支持されるようになります。

議論とはこのように仮説構築と仮説検証の繰り返しです。

トヨタの売り上げが高い理由を抽出し、自社へ適用して、自社の売上をあげることが目的となります。売上が上がれば何でも良いので、売上が上がった要因は、生産管理でもマーケティングでも組織でも戦略でもなんでも良く中立な態度となります。

(※なお、例えばマーケティングの専門家は、生産管理能力を無視しマーケティングの事例だけ持ってきて、トヨタの成功はマーケティングのおかげ!!と説明したりしますが、これはポジショントークといって、嫌われます。やめましょう。)

価値命題はできるだけ扱わない

価値命題とは、前述した[なぜ]に答えるものではなく、[~すべき]や[~が善い]というような命題です。すべきかどうか、善いかどうかは、人によって異なるので、こういった命題は反感を買いやすいです。

「べき論」を語る人が孤立しがちな本質的理由 | 30代から身につけたいキャリア力実戦講座

この命題で話を進めようとすると、おそらく下記のような理由で説得することになるでしょう。(良い理由しか挙げていない)

  • ~が良い理由1
  • ~が良い理由2
  • ~が良い理由3

また、自身の価値観が根強く反映されていることもあり、中立の立場を保つのが難しく、相手を言い負かせることが目的になってしまいます。

できるだけ、この手の議論にならないように[べき論]を進めがちな人に対しては、「なぜ善いのか」、「なぜすべきなのか」と質問し、できるだけ、[なぜに答える]議論にブレークダウンしていきます。そして、議論が出尽くした最後に、「以上の議論を踏まえると、~にすべき」というような手順を踏むとできるだけ前述のような議論として話が進められます。

例えば、「DDDを採用すべき」という命題を話し合うのではなく、[DDD]は保守性、可読性、再利用性、学習コストのそれぞれの観点で向上させるかどうか、また、それはなぜかという議論に移します。例えば、下記のような議論のテーマが登場するでしょう。

「DDDを採用すると保守性は上がるのか」、上がると思うのであれば、「なぜDDDだと保守性は上がるのか」という問いにします。そして、[~だから保守性は上がる]という仮説をソースコードと共に仮説検証します。

そして、同じことを他の観点(可読性とか)でも行います。

もちろん、最終的に採用するかどうかの判断をするときは、価値が関わってきますが、上記のように中立に考えた結果が出そろえば、最初から価値を論じていた時に比べれば、よりスムーズになります。

議論で必要な構成要素

下記の内容は共有する側が事前に考えておくべきものです。

(※一人の力では限界があるので、聞き手側も下記のような指摘などができれば良い貢献です。)

  • 共有会開催のための背景は何か(既存に問題(Issue)がある。これを解決したい。)
  • 共有会を聞くメリットは何か
  • [問い]に答える必要性
  • [問い]の構築
  • [問い]への仮説構築(対立仮説の構築を含む)
  • 仮説検証
  • 事例(ソースコードなど)の提出
  • 測定尺度の開発(※)

測定尺度の開発

たとえば、[格好いい]、[わかりやすい]、[読みやすい]、[すっきりしている]というような言葉がソースコードを形容することがありますが、定義があやふやで、測定不可能です。そのため、他人からは納得しづらい表現となります。

一方で、[凝集性]、[状態保持の有無]などの概念は測定可能です。こういった概念を開発するだけでも議論の貢献になります。

https://ohbarye.hatenablog.jp/entry/2022/01/31/state-coupling-complexity-code#f-0d71d6ee

その他

  • 仮説検証のための事実があれば、[思う]という単語はでてこない。[思う]という発言は説得力がない証拠。(※例えば、「私は現在売上が上がっていると思っています。なぜなら事実こういう結果になっているからです。」って発言おかしいですよね?)
  • できるだけ本稿の内容が1人でできれば、それは説得力があり、かつ、自走力があるということ。1人でできるようになれば、任せられる仕事も増える。
  • チームとして仕事をしていくので、このような議論する能力も必要。

参考文献